「適格請求書発行事業者(=インボイス登録事業者)」になるのか、ならないのか、を選択することだと、たんぽぽは思います。
➀インボイス登録事業者になる⇒消費税の課税事業者になる⇒消費税の納税が必要
②インボイス登録事業者にならない⇒消費税の免税事業者のまま⇒消費税の納税は不要
インボイス登録事業者は必ずならなければいけないものではなく、自分で選択するものです。
そして、インボイス登録事業者になる場合とならない場合では、取引先が納税する消費税が変わる、という影響を受けるため、インボイス登録事業者を選択するケースが増えていると言えます。
取引先は、インボイス登録事業者に支払った消費税しか控除(=費用計上みたいなもの)ができません(6年間の猶予措置がありますので、徐々に控除できない部分が増えていきます)。したがって、インボイス登録事業者ではない相手先に支払った消費税分は取引先が納税を負担することになります。
取引先が負担を受け入れてくれるのであれば免税事業者のままで問題ありませんが、取引先が負担を回避するため、支払相手先にインボイス登録事業者になって欲しいと願うことも多いと考えられます。
消費税の計算や申告方法には次の3つがあります。
- 本則課税(原則課税、一般課税とも言う)
- 簡易課税
- 2割特例
本則課税とは、売上高に対する消費税額から、仕入に対する消費税額を差し引いて消費税額を算出する方法です。
簡易課税とは、売上高の「業種」に応じた「みなし仕入率」を乗じて簡易に消費税額を計算する方法です(仕入の際、実際に支払った消費税は、一切考慮しません)。収入550万円(税込)の場合、消費税額25万円を納付することになります。
(計算式)
(売上500万円(収入550万円÷1.1)-仕入税額控除250万円(売上500万円×みなし仕入率50%(サービス業)))×消費税率10%=25万円
2割特例とは、インボイス制度の緩和措置として導入されたもので、売上1,000万円以下の場合は、3年間限定で年間の収入合計に含まれる消費税額の2割の額を納付します。収入550万円(税込)の場合、消費税額10万円を納付することになります。
(計算式)
売上500万円(550万円÷1.1)×消費税率10%×2割=10万円
結果として、簡易課税の「みなし仕入率」80%と同じ効果となるので、簡易課税のみなし仕入率が80%未満の業種の場合には、2割特例を利用した方がお得になります。また、2割特例の利用においては税務署への事前届出は必要なく、申告書にその旨を記載するだけです。
メリットとしては次のようなことがあります。
- 売上(収入)だけの情報で完結できるため、仕入や経費、それらの税率区分などを気にする必要はなく、計算、申告、納税が「簡単」です
- 本則課税(原則課税、一般課税とも言う)に比べて納税額が少なくなるケースもある
デメリットとしては次のようなことがあります。
- 簡易課税は消費税の「納税」を前提としているので、赤字になっても、大きな設備投資(例えば、車を購入)をしても、消費税の「還付」(戻し)になることはありません
- 簡易課税を選択した場合、最低でも2期(2年間)は継続して簡易課税事業者となります
- 本則課税(原則課税、一般課税とも言う)に比べて納税額が多くなるケースもある
特に本則課税と比べた場合に、納税額が多くなるか、少なくなるか、は気になるところですので、可能だったら両方で計算してお得な方を選ぶのが良いと思います。